SPORTS COMMUNICATION

TOP PROFILE WORKS VOICE

第6回 その舞台に立ってみるということ ――ギリシャにて(Greece)

5月末は、UEFAチャンピオンズリーグ決勝を見にギリシャに行ってきました。
ギリシャには、2004年のアテネ・オリンピックで赴いたことはあったのですが、チャンピオンズリーグ決勝を生観戦するのは初めての体験でした。
あらゆるものが新鮮に映りました。リバプールのファンなど、アンフィー ルドを訪れるファンより、ずっと多かったのではと感じたほどです。
彼らはまた、立派でした。決勝で敗れたリバプールに対して、ブーイングを送ることはなかった。
スタンディングオベーションで勝者のACミランを称えてもいました。素晴らしい敬意を感じました。

試合の内容については、ここであらためては触れませんが、僕と同い年のパオロ・マルディーニ(ACミラン)には自然に目が行きました。
80分からピッチに立ったカハ・カラーゼなどは、プレーが一つ途切れるたびにマルディーニのところに行っていた。
「これでいいですか?」と何かを確認するかのようにです。存在感という言葉では片づけがたい雰囲気を感じました。
彼が唯一無二のバンディエラ、と呼ばれるのがよく分かりました。
彼らはおそらく、マルディーニというリーダーを通してACミラン全体を見ているのだと思います。

チャンピオンズリーグを見て、AFCチャンピオンズリーグの価値についてあらためて考えさせられました。
浦和と川崎Fが決勝トーナメントにまで駒を進めましたが、ぜひとも優勝し12月のクラブ・ワールドカップに出場してほしいものです。
ギリシャに大挙訪れたリバプール・サポーターの姿を見て、クラブチームの価値が国内にとどまらず、
世界に広がっていく素晴らしさ、可能性を肌で感じることができました。

クラブ・ワールドカップのために来日するチームは、親善試合をしに来るのではありません。
日本で行なわれた第1回大会決勝で、サンパウロ(ブラジル)に敗れたリバプールの選手たちが
ピッチにしゃがみこんでしまった姿を今でもよく覚えています。
世界のトップクラブが真剣勝負をするために、日本にやってきます。
「ミラン対浦和レッズ」「ミラン対川崎フロンターレ」。どうでしょう、文字を眺めているだけで、ワクワクしてきませんか。
アジアで勝ち、世界に挑むという体験はそのクラブの価値観を変化させていく可能性があります。
日本のJクラブが、世界のトップクラブと、「世界一」の座をかけて戦う、という経験が必要だと思うのです。
今はまだ「出場したい」という域を出ません。それが実際に、「出場する」ことになれば、今度は「勝ちたく」なってくる。
そこで初めて「世界で勝つために、何をするべきなのか」という発想が出てくるわけです。

その歩みは、ワールドカップに出場することが夢だった20年前と、世界のトップクラス入りを果たす、
という目標を持っている現在の日本を比較してもらえば分かりやすいでしょう。
一つひとつ、さまざまなステップを踏むことによって、サッカーにまつわる環境面は、少しずつ整備されていったのです。
アジアのクラブが、日本のクラブが世界を経験することで得るものは必ずあります。
目標が「世界」にあるならば、ACLを取り巻く環境もこれまで以上に改善されていくはずなのです。

クラブ・ワールドカップで訪れるACミランのマルディーニが、Jクラブのサポーターで埋め尽くされたスタジアムにどんな顔で入場してくるのか。
そして、対戦相手のJクラブの選手たちはそこで何を感じるのか。
ひょっとしたら、マルディーニに歩み寄るカラーゼの姿を目の当たりにして「勝つためのリーダー像」を感じる選手もいるのかもしれません。
どうでしょう。新しいステップ、新しい経験というのは、やっぱり想像しただけでワクワクしてきませんか?

<<コラム一覧に戻る
 
講師紹介なら講演依頼.com
講演のご依頼は、講師派遣の講演依頼.com
プロフィールのほか講演の要旨などを掲載しています。
サイトポリシー^ お問合せ