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第4回 夢はつながっていく ――シリアにて(Syria) >>そのときの写真はコチラ

2年前、大切な友達ができました。2005年2月、シリアという国で、僕は彼らに出会いました。
シリアは現在U―22代表が戦っている北京オリンピック・アジア地区2次予選で、同グループに入っているため、
日本でも馴染みの深い国になってきたかもしれません。
シリアは中東、西アジアに位置し、北にトルコ、東にイラク、南にヨルダン、西にレバノン、イスラエルがあります。
シリアには多くのパレスチナ難民の子供たちが生活しています。

2年前の2月、僕はJICA(国際協力機構)のオフィシャルサポーターとして、初めてかの地を訪れました。
8カ所のパレスチナ難民の子供たちを集めて「JICAカップ」というサッカーの大会を開催するためです。
彼らが求めていたのは、「チャレンジの場所」でした。サッカーが好きで、ボールを蹴るのが好きなのは、世界中どこの子供たちも一緒です。
ただ、彼らには力を競い合う場所がなかった。彼らのほとんどは居住地の近隣から離れたことがなかったからです。
その第1回JICAカップの決勝では、勝ったチームは大喜び、負けたチームは涙を流しながら悔しがっていました。
僕は、それが彼らが得た「感触」だったように思いました。

 頑張れば、こんなことができる。
 悔しいから、もっと頑張ろう。

「感触」は、必ず次につながっていきます。
かつてパレスチナ難民の子供たちには、どんなにサッカーが好きでも、上手でも、
そしてどんなに頑張っても「ワールドカップに行く」という夢を持つことが許されていませんでした。
国籍がなかったからです。しかし、パレスチナには02年ワールドカップ日韓大会から予選参加権が与えられるようになりました。
かつて閉ざされていた夢の舞台へのスタートラインに確かに彼らは立っている。
目標、夢、希望、そうしたものがあれば、人は一歩足を踏み出す勇気を持てます。
「JICAカップ」が、目標の一つになればいい、心からそう思いました。

今年の3月1日から5日まで、僕は3度目の「JICAカップ」に参加するため、シリアを訪れました。昨年、一昨年に引き続き、3度目の訪問です。
今回は、全部で10チームが参加しました。それまではノックアウト方式のトーナメント方式で行なっていましたが、今回からはリーグ戦方式を導入しました。
集まってくれた子供たちが、少しでもボールに触れる機会を増えるように、という狙いです。大会期間は2日間。彼らは熱戦を繰り広げました。

驚かされるのは、大会のレベルが毎年上がってきていることです。1年間、彼らがこの大会を目標に努力していることが本当によく分かる。
第1回大会から継続して参加している子供も多く「オレはこんなにうまくなったんだ。見てくれよ」と、あちこちで手を引っ張られました。
彼らのプレーを見ていると、こちらが勉強になります。アイディアが豊富なんです。
「これがダメなら、こうしよう」というプレーというのでしょうか。
ボールの弾みをうまく利用したり、向かってくる相手の反動を使ったりするプレーに、ハッとさせられます。
彼らは常に考えているのです。逆境をうまく力に変えること。彼らのプレースタイルは「生き方」の象徴でもあります。

目標、夢、希望。それを持ち続けることで道は切り開かれる、と僕はやっぱり信じています。
そしてサッカーは、それを教えてくれるスポーツです。もっとたくさんの人に、その素晴らしさを伝えたい。
そのために、僕はこの先もボールの力を借りていくつもりです。

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